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第1章 ■ 昨今の物流環境①『なぜ物流改善が必要なのか』

「なぜ物流改善が必要なのか」

 「物流とはなんだろう?」と考えてみる。
我々が生活し、仕事を営むに当たりヒト及びモノの移動は不可欠である。
この移動の全てが[物流]である。
 これらヒト・モノの移動に対して私たちは自動車・鉄道・航空機・船舶など
様々な輸送機関を利用し、それらの動きによって経済活動が支えられている。

 これらの経済活動に伴い発生するヒト・モノの移動に対して
特定の輸送機関を利用してサービスを提供する産業が
”物流業”と呼ばれ、このような企業群の集合体が”物流業界”となっている。

 昨今、この物流業界または各企業の物流に携わる部署の動向、
または業務改善が注目を集めている。
それは、一昔前ほど売上を順調に上げられない企業が多くなっていることに起因している。
企業が利益を出すためには売上を伸ばすか、コストを削減するかしかない。
売上が伸びない中、利益を創出するにはコストを削減する以外にないのである。

 その結果[ローコスト志向]が広がった。
企業がコスト削減を考えたときまずどこに着手するかを考えると、
これまで未着手だった物流に着目する企業が多くなってきたのである。

 製造業、卸売業はもとより特に小売業・サービス業における物流改善の実施は
「最終利益の極大化」に直結するとの意識が急速に高まっているのが現状であり、
新聞紙面には連日のように物流に関する記事が掲載されている。

 物流をモノの流れに焦点を絞って着目してみると、
商品や製品を目的の場所に移動し届けるために
多数の工程を通らなければならないことが多く、
企業にとってそのコストは非常に大きいものである。

 まず考えなければならないのが、
物流という行為自体は直接利益を創出するものではない。
そのためこれまで売上を伸ばすことに躍起になっていた企業からは着目されてこなかったが、
コスト削減に着目した昨今はモノの流れやそれに携わる人員を単純化し、
手間(特に人手)をかけないことでコストも時間も節約できることを知り、
改善に注力する企業が増えているのである。
ここで削減されたコストや時間は企業にとってほとんどが純利益となるため、
着目するのは当然でありこれまで着目されてこなかったことが不自然であると言える。
 また「薄利多売」の「薄利」だけが商習慣として残った現在では、
売上によって大きな利益を稼ぎ出すには、大きな労力を払わなければないと
理解されたことも物流改善が大きく着目された要因の一つであると考えられる。

 一説には同じ額の利益を創出するときに、物流費を削減する手間と、
商品を売ってこの利益を上げる手間を比べると、
商品を売って利益を創出する方が7倍の手間と経費がかかるといわれる調査結果がある。

 これらのことから物流費を削減し、利益を得る為に様々な方法が考えられてきたのである。
 「運賃交渉」、「業務改善」、「アウトソーシング」、「3 PL (サードパーティロジスティクス)」「SCM (サプライチェーンマネジメント)」などがそれらにあたる。
しかし様々な方法・手法がとられているものの物流改善の発想・行動の原点は一つである。
 物流改善の目的は”利益の極大化”であり、最も望ましい姿は
「欲しいときに」「欲しいものが」「欲しいだけ」
安定して供給される物流体制の構築なのである。
 この状態を実現し、維持することが「ロジスティクス」と呼ばれている。
この場合Fロジスティクス」というマネジメントの下に生産・仕入・物流が
位置するという関係になり「ロジスティクス」は「物流」のさらに上の考え方となる。
 簡単に言えぱ「一番効率的なモノの動かし方を事前に考え、
各部門に指示し、指示通りに実際に動かす」更に
「効果を理解・把握して、次はもっと効率の良い方法を考える」
という一連の流れのことだと言えるのである。

 現在、そしてこれからはどの業界においても事前に考えながら、周りと協力しあってモノを動かすことが利益を創出するためには重要になってきているのである。