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第1章 ■ 昨今の物流環境②『何が求められているか』

前述の通り、どの企業にとっても物流は「新しいビジネスチャンスの場」と位置づけられている。
 「ロジスティクス」という言葉は様々な場面で使われるようになり、
物流業務改善の考え方、意識は高まるばかりである。
しかし、現場を振り返ってみると実現できていないことが多いのが現状である。
それらの原因は以下のことが考えられる。

 第1に、物流企業は圧倒的に中小企業が多く、
荷主の求めるニーズに対応できる資金や機動力が不足しているということ。
 特に「考えながらモノを動かす」ための、
現場管理者を中心とした人材不足は深刻な問題と捉えている企業が
多いのが現状である。
 また、最新の技術や考え方を実行に移す以前の段階として、
依頼された業務を完璧にこなしきれない、物流企業の実力の無さと層の薄さが
存在している場合も少なからすあるのである。

 第2に荷主企業が「物流」の重要性を理解できず、
物流コスト削減方法は「運賃・保管料交渉」である、
といった考え方が根強いということ。
 いまだに「主従の関係」と「過剰要求」か絶えないこともあり、
戦略的な物流デザインを描けないといった構造的な問題が残っているのである。

第3に、情報の連携がとれていないこと。
アウトソーシングは「相互信頼」が前提である。
これを得るための情報連携を行えるだけの情報システムの構築が進んでいない企業が
まだ多いのが現状である。
一部では在庫のデータ化ですら行えていない事もある。
 前述の通り、現在の物流改善は単一企業だけでの取り組みにはとどまらず、
複数企業が連携をとって行うことが多い。
その際の温度差が大きいため情報の連携をうまく取れていない場合が多い。

 以上のような原因が解消されない限り、日本の物流は良くなることはなく、
諸外国企業との実力差は開くばかりである。
 これからは荷主、物流企業共に物流の重要性とお互いの強み・弱みを理解し、
共に業務改善に取り組むことが急務となっていくであろう。

では、具体的に何を知識とし、考え、実行しなければならないのであろう。
「物流業務請け負い」に求められる機能と内容は次の通りである。

【物流に求められる9つの機能】

1.物流業務を行う、請け負う際に絶対に必要な機能
①車輛運行管理
車輛運行業務パターン化による最適ルート指示による、ローコストオペレーションの実施、維持
受注締め時間の設定、納期約束に合わせた納品体制の整備
②在庫管理
全社の在庫管理を一括して行う(特に滞留在庫)
商品ABC分析を行い、A商品の欠品防止、BC商品の在庫滞留化防止管理適正在庫の基準値の設定及びチェック
実地棚卸の実施(棚卸による差異の原因の究明を行う)
③委託倉庫の管理
委託先の探索、選定、交渉、契約内容、作業品質、費用などの管理
(荷主・自社とも)経営戦略に基づいた拠点の選定、運営、維持管理

2.現在実行できる物流企業があり、今後物流乗務を行う、請け負う際に必要不可欠な機能
④物流指標の決定とその執行管理 
物流会社に対する指標決定と執行管理
(ドライバーチェックリスト・遅配率・事故率・クレーム他の把握、分析、改善)
自社物流業務に対する指標決定と執行管理(納品率・廃棄率他)
⑤物流のコストの管理と削減策の決定 
物流コストの管理指標を決定し、他の経営指標と併せて、全社的に共通の数字を持たせる
物流コストの管理により、改善策の定着、維持運営を行い、社内ノウハウを定着させる

3.現在実行できる物流企業は少ないが、今後物流業務で利益を獲得するために必響不可欠な機能
⑥運営マニュアル・運営ルールの策定
ピッキングマニュアルの作成や、棚卸方法のマニュアル作成などを行い、実施する
事務所との取引ルールの提案、物流会社との取引ルールの作成し、その通り実施する、改善する
⑦情報システム設計及びメンテナンス
情報システムの改良、更新に際して、物流面から見た情報提供、及び提案を行う
⑧営業支援 
商品別出荷データ(全社)の管理情報提供
商品別出荷データ(事務所別)の管理と情報提供
欠品、誤納、遅納の防止、得意先要望の把握
⑨商品開発・販売部門との情報共有化
年次計画、月次計画に基づいた発注倫理十物流部の予測調査を行う
情報を緊密に提供しあい、情報の共有化と計画精度を向上させる

 

ご覧の通り、一昔に比べると遥かに広く深い業務が求められていることがわかる。
 しかし、逆にこれらは実際に実行することが困難だからこそ、大きな市場と大きな利益を得られるチャンスとなっているのである。また、物流業界、物流関係部署で働く人々にとって大きなチャンスとなっているとも言えるだろう。
 ご覧の通り、一昔に比べると遥かに広く深い業務が求められていることがわかる。
 しかし、逆にこれらは実際に実行することが困難だからこそ、
大きな市場と大きな利益を得られるチャンスとなっているのである。
また、物流業界、物流関係部署で働く人々にとって大きなチャンスとなっているとも
言えるだろう。

図①■物流に求められる9つの機能●P17