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第1章 ■ 昨今の物流環境③『今後の動向』

昨今、荷主企業から物流企業へ業務をアウトソーシングする方向へ力を注ぐ傾向が
強く見られる。
これまでの日本は、特に大企業ほど物流機能を内製化する傾向にあったのである。
それはなぜであろう。雇用の創出など様々な要因が考えられるが、
「物流企業が荷主企業を満足させられるだけの高付加価値サービスを提供できていない」
ことが一番の原因だったのである。

 昨今、荷主企業が積極的に物流業務のアウトソーシングに取り組んでいる背景には、
本業特化と物流企業が荷主企業の業務や物流体制を研究し、
荷主企業の求めるサービスを創出し始めていることが挙げられる。
商品の保管・配送だけにとどまらず、梱包や商品加工などの業務までを
物流企業が請負うことは珍しくなくなってきている。
中には、荷主企業の受注センターとして顧客からの注文を直に取扱う物流企業も
存在している。
荷主企業にとっては商品を作ること、売ることに特化することができ、
売上向上に努めることができる物流体制を求めているのである。
それに応えられる物流企業が増加してきていると言えるだろう。

ところが、物流企業全体がそうなってきているかと言えば、そうとは言えない。
現在、物流企業の技術的な構造は極端に二極化しており、
インフラ(倉庫や車両)の充実度がいまだに物流企業の実力を端的に示す業界と
なっているのである。
また総じて情報化対応は遅れており、依頼事項に対するレスポンスが遅い企業は
まだ数多く存在しているのが現状である。
これでは、荷主企業が物流企業に対して、直面している厳しい状況に歩を合わせて
対応してくれることを期待することは難しくなっているのも現状なのである。

そこで、低付加価値でリスキーな資産を増大させる車両や倉庫は自前で持ちたくない、
と考える荷主企業は、自社内で現在の配送インフラに合い、
かつスピードを維持できるセンターを構築する。
そして、物流企業には最も付加価値の低い
「輸配送」と「保管」 しか行き渡らない構造となっていることが多いのである。

これからは荷主、物流企業共に「本物(プロフェッショナル)」だけが
生き残る時代になることが考えられる。
そのためには、それぞれがプロとして活躍できる場面において、
最強の組み合わせを求めることになるだろう。(パートナーを選ぶ時代) 
流通・物流は市場の変化に合わせてフレキシブルになり、
付加価値の低い機能の淘汰が進む。
組織はその都度編成される。
これまでのように物流企業のドライバーと荷主企業の物流担当者が
友好な関係を維持すれば取引が継続する時代(担当者ビジネス)
ではなくなるのである。
物流は利益創出のツールとして経営者による判断(トップビジネス)の
色が濃くなることであろう。
当然、従来通りの取引形態も残るだろうが、その利益は著しく低下し、
事業存続の危機を迎える企業も数多く出てくることが考えられる。

物流企業にとっては荷主企業のパートナーとなれるような付加価値を
保管・配送はもちろんのこと、それらを越えた物流サービスの創出が必要となるであろう。

荷主企業にとっては、商品・製品の流れの効率化をすることが第一である。
これまで注目してこなかった物流部門の改善こそが売上拡大に匹敵する
利益創出の要因になる。
また、物流業務のアウトソーシングを行い、
本業に特化するにしてもアウトソーシングをする業務を事前に改善する必要があり、
委託業務の選択や委託先企業の選定など物流の情報収集が必要となる。

つまり、今後ほとんどの企業にとって物流改善は必要不可欠な存在になるのである。
そこへ投下する人材の強化やプロフェッショナルの獲得なども今度注目されていくことが
予想される。