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第2章 ■ 物流改善の考え方③『物流費の捉え方と改善着手範囲』

物流費の捉え方と改善着手範囲   

◆共通言語としての「物流費」の捉え方

企業活動における成果は数値で計られるものである。
このため物流も企業活動と同じようにその活動内容を明確に数値で把握できる状態を
作り上げることがベストである。
前述したように、物流業務に携わる人材に対しての評価も
数値に基づいたものに変更する動きがあるが、
まだまだ課題が山積みな状態である。
しかし、これをうまく活用できている企業は
物流部門でも明確な数値目標を持つことができており、
そのためには自分達が何をしなければならないかを把握している。
その効果は大きいと言える。

現状、物流の活動内容は主に費用で計られることか多い。
このコストがどのように使われているかを継続的にチェックすることで、
物流業務が適性に行われているかを計ることかできるというものだ。

物流費は売上より捻出されるため、売上の変動と共に変動することが望ましい。
 一つの指標として
「売上に対していくらの物流コストがかかったのか(売上高対物流費比率)」
を把握することが誰にもわかりやすく算出も比較的容易である。
これを社内の共通言語とすることで、共通意識を持って物流コストを
見られるようになるのである。

物流費を金額だけで捉えてしまうと、売上に伴って上昇してしまうコストに対して
問題意識を持つことになってしまう。
無理にコストを削減しようとすれば業務の品質や精度を欠くことにもなりかねない。
もちろん売上対物流コスト比率を低減する努力は必要であるが、
企業活動全体から無駄を省くという視点からは「比率」で見ることで
営業や製造部門の問題も発見しやすくなり、社内の共通言語にもしやすい。

◆物流業務の改善着手範囲

ここでは物流コストのどの部分を改善範囲として捉えることが望ましいのかを考えたい。

物流コストを分解すると、配送料や保管料など請求書で把握できる
「見えるコスト(支払物流費)」のほかに、
物流人員の人件費、受注における事務用品費など、
社内で物流業務を行うことで発生している「見えないコスト(社内物流費)」がある。
このコストはほぼ支払物流費と同じ程度の額がかかることが
我々の改善実績で明らかになっており、これらを合わせて卜-タル物流費と呼んでいる。
(詳細は[3章]。「情報」参照)

では、ます物流コストのどの部分を改善範囲とすれば良いのだろう。
物流業務改善の範囲は、受注時点から最終的にお客様に納品、
あるいは返品を受けて処理が完了するまでが物流改善の範囲となる。

その中で特に注目しなければならないのか「受注」である。
物流費は“どのように受注(作業指示)を受けたか”が物流コストを
大きく左右する要因となっている。
我々はよく企業の物流改善に携わるとき「物流の90%は受注で決まります。
まずは受注業務から見直しましょう」と言うことが多い。
それは、「いつ」「どこで」「誰に」「どのようにして」といった
5W2Hを決定する業務ポジションであるからである。
また、受注に関するコスト領域は社内物流費であることが多く、
ここを改善することにより大きく改善効果を望める箇所である。
これに連動して社内物流費の改善箇所か発見できるため、
まずは社内物流費を削減することか必要である。

これは現在、支払物流費についての改善は、大半の企業が値下げ交渉など
を実施済みであり、ほぼ限界に達している現状からみても言えることである。

今後は社内物流費に着目し、受注から納品・返品処理までの一連の業務改
善を行うことでトータル物流費を削減することがコスト削減のポイントとな
ってくるのである。

       図④■トータル物流費●P31