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第2章 ■ 物流改善の考え方⑦『失敗しない物流改善』

失敗しない物流改善 

◆目的の明確化と改善ステップ

失敗をしない物流改善を考えるとき、
なぜ失敗をするかを考えなければならない。
物流改善に失敗する企業のほとんどが、前項で述べた改善ステップを
明確化できていないことが多いのである。
改善ステップの重要性は前項で述べた通りだが、改善ステップの明確化は
同時に改善の目的を明確化することにもなる。
そして、その目的を達成するにはどのようなステップを踏めば良いのか、
それに携わる人間の意識を統一することもできるという効果もある。
目的の内容から、その現状把握手法を示したものが下図である。

      図⑧■物流業務●P42

現状把握の後は、前述してきた
「優先順位の決定」→「改善ステップの明確化」
を進める。

現状の把握は、コスト削減が目的であれば業務を数値化し、
どこにどれだけのコストを費やしているかを把握する必要がある。
品質向上であれば業務を見直し、品質を低下されている原因を突き止める必要がある。
納期短縮などの売上向上(物流による利益増大支援)であれば、
社内での物流の位置づけや、企業としての方向性と物流の方向性が合っているかの
確認が必要である。

以上のような改善の目的、優先順位、実施内容を順序よく決定することで、
目的達成へのプロセスか明確になるのである。
改善の失敗は改善途中で目的を見失ったり、優先順位のつけ方の違いで、
効果を発揮するのが遅くなったり、逆効果な結果を招き、
失敗と位置づけられてしまうことが多いのである。

◆物流改善はトップダウンである

物流改善が失敗する大きな原因をもう一つ挙げるとすれば、
物流改善が主にトップダウンによる取り組みではなく、
物流部署だけに任せきりという場合に多い。

物流の現場は常時動いており、現場社員は日々の業務を終了させることで
手一杯なはずである。
その合同にも顧客対応、営業担当部署との連携などを行っている。
物流改善を任されていても、なかなか着手できなかったり、
思うように進捗しなかったりということが多い。
また、現場改善はその業務フローの変更、大幅なロケーション変更等が伴う場合もあり、
現場社員としては消極的になってしまうことも多い。
現場を管理する管理者にとっても物流改善に積極的になれない場合が多いのである。

物流改善の指示命令系統は経営陣からのトップダウンで行うことで、
社命として現場を動かすことがベストである。
会社の決定事項として現場も積極的に改善活動を行うことができるのである。
また、他部署の理解も得やすくなり、物流部署単体でなく、
営業、システム、経理など全社としての方向性か定まるような物流改善を
進めることが可能となるのである。

また、改善を行う際に編成されるプロジェクトメンバー構成などにおいても
失敗の原因が隠されている。

物流の改善だから物流部門の主要メンバーで構成するのではなく、
企業運営全体の中の物流を改善するという意識を持ってメンバー構成をすることが
必要である。
改善においては、顧客サービスの変更や物流との連携を考えれば
営業担当部署のメンバーも必要になり、
情報システム再構築や仕様の変更を考えればシステム担当者も必要になる。

このように、物流はあくまで企業経営の一つであり、
その他とのバランスを考えながらの改善か重要となることから、
プロジェクトメンバー編成においても各関連部署を含む横割りのメンバー編成をすることで、
企業としてのバランスの取れた物流改善を遂行することが可能となるのである。
これを決定するのは経営陣になってくることが多く、
そのメンバー編成や改善プロジェクトの企業内での位置づけを明確にしてあげるなどの
手腕が問われるのである。