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第3章 ■ 物流改善に必要なもの③『情報(データ)』

「情報(データ)」

◆トータル物流コスト算出

物流改善を行うにあたり、トータル物流コストを把握することが大切であることを
第2章で述べた。

ところが、このトータル物流コストを把握している企業はまだ少数である。
なぜ把握できていないかと考えてみると、
述したように物流そのものを軽視している企業が多いということ、
算出方法自体を理解していないということなどが挙げられる。

トータル物流コスト、特に社内物流費の算出は社内のどこにコスト増となっている箇所が
あるかを明確に把握することができる。
また、これを継続的に算出することによって改善の進捗状況を見る指標としても活用できるため、
トータル物流コストの算出は物流改善の最初の着手事項として挙げられるだろう。
トータル物流コストが算出することができれば、支払物流費と社内物流費の割合を見たり、
売上対物流コスト比率を見たりすることもできる。

我々が物流改善に着手する際にも、必ずこのトータル物流コストを算出することからスタートする。
このトータル物流コストの算出には「物流コスト算出表」を用いることがほとんどである。
「物流コスト算出表」を作成することで、どこに問題点があるのか、
コスト削減のためにはどこを改善すれば一番効果的であるのかなどを
数値的に一目で把握することが容易になるのである。

例えば、大半の企業の「人件費」が全体の50%前後を占めており、最大のコストとなっている。
そこでセンター、庫内作業をバート化したり、よりムダのない作業動線の作成、
レイバーコントロールにより人員を削減するなどの改善を行っている。

ここではトータル物流コスト表作成のための必要データ、
作成後の分析手法についていくつかご紹介していきたい。

 エクセル図⑨■データ●人件費・配送費●P54.55.GIF 

  エクセル図⑨■データ●保管費・情報処理費●P56.57  

  エクセル図⑨■データ●トータル物流コスト・管理指標●P58.59

  

まず、必要データであるが、上図の通り物流費は大きく以下の4つに分けることがでさる。

①人件費
②配送費
③保管費
④情報処理費

(加工があれば加工費も)
これらのコストの収集方法は以下の通りである。

①人件費
・受注から配送に係わる人件費の総額
・物流部署社員、パート・アルバイト、派遣社員等
・物流部署以外人員の物流業務に従事したコスト
(例)一般女子社員Aさんは勤務時間の60%を物流業務(受注入力)に費やしている
  →(総支給額×0.6=人件費)
・営業マンの配送業務も(例)同様に物流コストに含む

営業担当者が配送業務を兼ねている企業の場合、
そのコストは営業コストとすることが一般的となっているが、
その配送業務に関するコストは営業業務の質と量を調査・把握して「営業」と言えない業務は
物流費として捉えることが必要である。
そうしなければ売上に対して本来どれくらいのコストが必要なのかを把握することが
できないのである。
企業によっては営業マンが配送業務を兼務することによって、
顧客とのコミュニケーションの場を創出することにつながると考える企業もある。
そこで営業がリテールサポートや提案営業といっだ”本来”営業活動を行っているかの
業務チェックが不可欠となる。

②配送費

1.支払い運賃…運賃、傭車、宅配便、メール便など請求が出る運賃全て
2.センターフィー・・・量販店等のセンターを使用した際、「使用料」などを支払っている場合その全て
3.車両費…物流業務に使用する車両などがある場合、その原価償却費、リース料など
4.車両維持費…「車両費」に該当する車両における保険料・ガソリン代・タイヤ交換料等の維持費など

③保管費

1.支払保管料…外部賃借倉庫を借りている場合、倉庫料金の全て
2.支払作業費…入庫料、出庫料、梱包料、仕分け料、流通加工等
3.梱包材料費…ダンボール、バック、テープなど梱包材料に関する費用の全て
4.倉庫内機器費・・・作業に使用するフォークリフト、パレットなどの費用の全て

この②配送費、③保管費がトータル物流コストのうちの支払物流費となる場合が多い部分である。
前述の通り、この部分だけを物流費として捉えている企業は多い。
請求書により金額が明確化されているのでコストの把握が容易であるからである。

④情報処理費


1.物流情報機器費…物流業務に使用するパソコンや受注専用端末、FAXなどの月間リース料など
2.消耗品費…伝票類、文具類、トナーなどの事務処理に関わる費用
3.電話代、郵便代等

この④情報処理費については、他部署の連携をとっており
物流業務だけで使用している情報システムでない場合がある。
その際は人件費と同様にどれくらいの割合で物流部門が使用しているかで算出する。
これらのデータを使用して図表9のようなトータル物流コストを算出する。
ここで大切なのは波動が大きい「物流」という特性から月別で12ヶ月を算出し、
現状を認識することである。
トータル物流コストを算出することは非常に大切なことであるが、
算出しただけでは何も改善はできない。
算出した物流コストを様々な角度から分析することによって、
物流業務に隠れているコスト増の原因を見つけ出し、改善してこそ意味があるのである。
売上高に対するトータル物流コストの構成比率を出す場合は、
更に対象部門の売上高が必要になり、
それをトータルコスト表に入れることで算出することが可能になる。