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第136回「物流会社『売上獲得 4の鉄則』」

 我々は日々多くの物流会社の改善を行っている。その規模は年商1億〜8,000億と幅広い。当然規模の大小に伴ない改善すべきテーマや内容は異なってくる。しかし、物流業の原点とこれからの生き残りの方向性という視点から見ると規模の大小に関わらず共通点が浮かび上がってくる。

<物流会社「売上獲得 4の鉄則」>

1.提案営業と提案書営業を間違うな
2.販促ツールの充実に力を抜くな
3.(物流業は)走れば走るほど儲からない。走らない物流サービスを対応・開発せよ
4.現場を「ショールーム」にせよ

1.提案営業と提案書営業を間違うな
提案営業の必要性が問われて久しくなるが、それは提案書を作成し、商談時にプレゼンを行うこととイコールであると捉えている会社が多い。それは間違いである。提案営業とは「荷主にとって役立つ、利点のあること、売上があがること、経費が下がることなどを提示し自社と付き合うメリットがあると認めてもらい納得してもらって仕事をもらう営業」ということであり、提案書はそのツールの1つに過ぎない。例えばアパレルを扱う既存荷主に対して業界新聞(繊研新聞など)のコピー、それも物流をテーマにしている記事や競合他社の動きなどが書かれた記事のコピーを持参する。トップや経営幹部であれば日々それらに目を通していることが多いが、センター長や物流部長クラスには目にする事がなかったり、回覧されるまで時間がかかたりするため、一早く行動すれば先方に喜ばれる。これも提案営業の1つである。また自社のセンター機能が整っていれば現場に招いて「御社のお仕事を受けさせていただいた場合にはこのスペースを活用して、このようなピッキングを行い、最後のこのレーンに検品を行います」といった新規荷主に対して現場視察による提案内容のイメージ化を行うことも重要な提案営業の一環である。もう一度、提案営業とは何かを問いかけ、再度原点からスタートを切ればどんな会社でも実行できるのである。

2.販促ツールの充実に力を抜くな
一般的に物流業界におけるマーケティング活動、営業活動は脆弱である。ちなみに全産業の広告宣伝費の平均が売上の3~5%と言われているが、物流業はその半分にも満たない1~2%という数値結果もある。当然販売促進にかける金額そのものが重要ではない。しかし、順調に取引が進めば開始から3年ほどで年間数千万円の取引額に膨らむ事も多い中でその案件に取り組むマーケティング、営業活動は貧相なのものである。これからはこのような旧態依然としたスタイルでは仕事を他社にとられてしまう。我々の活動の中で有効な販促ツールとなっているのは

(1)「物流アドバイザー」や「物流カウンセラー」などを肩書きの横に入れた提案型名刺 の活用
これは物流の専門性が高いことがアピールでき、一般の営業より荷主側の公開する
情報量が飛躍的に増える。何もこれらの名称に臆することはない。難しい内容や知ら
ないことを聞かれれば、「宿題」として持ち帰り、後日、きっちり応える事が肝要である。

(2)機密保持誓約書
物流会社の営業がうまく進まない理由の1つに営業先の現状や実態を掴みきれていないため、提案するポイントや見積方法、また自社で対応できる仕事であるか否かなどの判断がつかないという場合が多い。これは物流企業側の入手している情報の量と質に問題があり、必要な情報を収集できていないのである。一方荷主側にとっては業務を未だ依頼するかどうか決まっていない物流業者に重要な情報を公開するわけには行かない。もし、競合他社にでもその情報が流れてしまえば不利益を被るかもしれない。外部委託の際、情報漏洩に過敏な荷主企業にはその漏洩を厳守する誓約書を取りかわすことで、ひとまず提案営業に必要な情報を公開してもらうのである。

(3)業務案内ビデオ
センター業務や流通加工などを対応している物流会社には提案書や会社案内ではPRに限界がある。このような場合は「静」の営業から「動」の営業に変えるのである。PRすべきポイントがピッキングや梱包、ラベル貼りとなればその動き(作業)そのものをビデオに録画し、CDに焼き付ける。そしてパソコンを用いて先方に観てもらうのである。編集時間は長くても短くても効果が無い。15分〜20分にまとめあげるのがポイントである。
その他の販促ツールとして提案書やホームページなどがあるが既にその内容などは他で述べられている。

3.(物流業は)走れば走るほど儲からない。走らない物流サービスを対応・開発せよ
原油高騰、ドライバー不足による賃上げなど昔も今も物流業界のおかれている経営環境は厳しい。このような中、長距離の輸送業務を中心に物流業は走れば走るほど利益が出ない構造になってしまった。売上の約50%を占める人件費、そして上記のような燃料・油脂費の高騰、高速代など、原価の抑制が効かないのである。しかし成長型、高収益型物流会社の特徴として昔から高い経費構造となっていた人件費にメスを入れていることが挙げられる。
具体的には流通加工や需要の多いセンター業務を受注、対応することで正社員ではなく、パート・アルバイトでまかなっているのである。当然、このパート比率を中心に人件費比率は業績に直結する。目安として売上に占める人件費の割合が50%以上の会社は赤字、50%未満に抑えている会社は黒字と明暗が分かれている。

4.現場を「ショールーム」にせよ
ここでの「ショールーム」とは5S、モラルが徹底している現場を示し、そのことが依頼主である荷主に対して「ここなら任せることができる」という“確信”を勝ち取る最大の営業の場であることを意味する。
「社長のビジョンは素晴らしい」「営業担当者の対応もよい」「料金も我々の要望を聞き入れてくれた」いよいよ正式な契約という段階に来て最後の「現場視察」。ここで依頼主である荷主の期待を裏切ってしまう現場が多い。こんな会社を我々は山ほど見てきた。どんな立派な表面を取りつくろっても最後は「現場力」である。
それは整理・整頓・清掃・清潔・躾の5Sと現場スタッフの挨拶、マナー無き現場には培われないのである。