Top > メールマガジン「物流ナビゲーター」 > 第138回「物流会社『品質向上・体制・その他』」

第138回「物流会社『品質向上・体制・その他』」

■前回では「コストダウン 3の鉄則」を述べたが、今回は「品質向上・体制・その他」
をご紹介します。

<物流会社「品質向上・体制・その他」>

1.入荷、出荷検品はできるだけシステムを導入せよ
2.車両事故を撲滅せよ
3.「採用」→「教育」→「配置転換」、前工程の「採用」で勝負をつけろ
4.先ずは所長、センター長、そしてパートの教育と多能工化に集中せよ

1.入荷、出荷検品はできるだけシステムを導入せよ
我々はシステムありきの現場改善を行うことは無い。通常、荷主主導の改善でシステム化され、その端末を物流会社に置くような場合が多いが、それ以外の場合では倉庫、センターの入荷検品、出荷検品は荷主側の要請や費用支援が無くとも自発的に物流会社がシステム導入すべきであると最近強く感じている。                  
理由は
(1) 荷検品、出荷検品業務の品質向上においてヒトの作業では限界があり、非効率である事
(2) (1)や在庫差異の原因の所在を明確にできること
要するに作業品質向上の一助となるツールであると同時にもし差異の弁償を負担する事があるなら、その金額はシステムの低価格化のためおそらく1年以内にペイできるということである。このような点からも、業務品質向上、責任の明確化、そして営業面でのPRなどで費用対効果は充分あると言える。

2.車両事故を撲滅せよ
前回1.でも述べた通り、物流会社における車両事故対策は最重要テーマである。車両事故を激減させた会社の秘策をお伝えしよう。

・ 眼精疲労はドライバーが最もコントロールできないリスク。パチンコ、テレビ、深酒などをプロとして控えるよう徹底指導した。
・ 部長クラスがドライバーの家庭を訪問する事により、会社と家族の両方から事故の重要性を伝え、理解してもらっていった。
・ 心の余裕を持たせるよう配車からのやり取りで「焦り」「プレッシャー」を喚起させる「伝え方(言い方)」を禁止した。

従来の対策と違うのは、無事故手当や交通事故のビデオ、JRの日勤教育と言われるような罰則重視の対策ではないという事である。現在のドライバーは10年前のドライバーと比較してはるかに業務の負担が大きい。納品時間、検品、荷扱い、受領伝票、アイドリングストップなど業務が多岐にわたり、時間がタイトになってきている。そのような状況で対策がドライバーにプレッシャーをかける中身となっては逆効果である。
また、事故が無いまたは少ない会社の共通点は、

・ あいさつ、マナー、5Sがしっかりしている
・ 車両がいつもきれいに保たれている
・ 利益が出ている

などである。(別表:「現場チェックリスト」参照)

3.「採用」→「教育」→「配置転換」、前工程の「採用」で勝負をつけろ
強い会社、成長している会社、利益率の高い会社は前工程の「採用」が強い。
それは(1)採用媒体の選定(2)採用基準の明確化(3)採用〜入社までのプロセスの明確化などが整備されているのである。幹部が育つまでの間や物流会社に新卒の応募が来るようになるまでなど大半の物流会社は自社の「教育」で人材を育てる事は難しい。教育する時間と場所、そして人材が無いからである。最後の教育する人材は外部に委託できるが、そうなるとその委託するお金が出ないといった問題が出てくる。
このように規模に関係無く外部セミナーに参加させる、外部講師を招くレベルまでが第一ステップ、自社の幹部が講師となって教育を行うレベルが第二ステップとその道のりは厳しい。またせっかく教育しても他社に転職してしまうと教育に力を入れなくなった経営者も多い。これらの事を裏返せば「教育せずとも成長する優秀な人材を獲得する」ことになる。「採用」の工程が強い会社は(1)トップ自らヘッドハンティングに走り回る。(2)人材紹介会社を活用する。(3)優秀な人材が「ここで働きたい」「この人と働きたい」というトップや会社のビジョンづくりなどに力を入れているのが特徴である。

4.先ずは所長、センター長、そしてパートの教育の多能工化に集中せよ
教育において「全体をレベルアップさせる」ことほど難易度の高いものは無い。従って、選択と集中が必要になる。物流業は所長産業である。所長の能力、資質で現場運営の90%が決まってしまう。物流業の現場において教育する対象に優先順位をつけるとするならば上記所長、センター長、そしてパート、アルバイトである。
現場管理職としての所長、センター長に必要な主な能力は以下である。

・数値管理能力     ・リスク管理能力     ・労務管理能力
・緊急対応力      ・コミュニケーション力  ・情報のタテ、ヨコ組織への伝達力
・現場改善能力     ・執行管理能力      ・他
パート、アルバイトは前回2.で述べたように今後の物流業の発展を支える重要な戦力である。従って「教育」においては社員と同様の教育を施す事が不可欠となる。線引きは必要ではない。また社員、パート、アルバイトに共通して注力しなければならないのが、ジョブローテーション、いわゆる積極的な配置転換である。所長、センター長では今までは担当のセンター業務しか対応できないという事が多く見られたが、これからは1人3役(3ヵ所)のセンターや事業所を運営管理できる能力が求められる。またパート、アルバイトも同様にAゾーンのピッキング担当であればBゾーンや検品など1人3つのポジションの対応力が求められる。それは1人3役をこなせることで欠員の対応ができたり、反対に休みをとってもらうことができる。またセンター運営最大のポイントである応援体制が組める事が大きな財産となる。
またほかの現場を体験する事で持ち場とのギャップを感じることができ、現場改善の意識向上にもつながるのである。生産管理での多能工化と類似している。
以上、3回にわたってお伝えしてきた「11の鉄則」の実行は文字に表わすほど現場は容易ではない。しかし、これをヒントに自社なりの方法を考えて実施してみることやまた11つの中からできることから挑戦していくことで御社の“現場改善”に弾みがつくことは間違いないであろう。