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第249回「荷主の言い分②」

「物流業界の営業マンは、大嘘つきどころか詐欺師だ」とクレームをつけるある食品メーカーの業務部長。提示された運賃が今よりも15%ダウンするので、長年続いた既存物流会社との取引を止め、新しくこの会社と契約を交わしたという。その半年後のある日、上司を連れて、突然この営業マンが現れた。「申し訳ありませんが、御社の業務を来月いっぱいで辞めさせて頂きたいのですが…」と伝えられた。

担当者にとっては青天の霹靂であった。理由は「経費を甘く見ており、今の運賃では赤字続きである」
とのこと。一般的に、長年の取引先は融通が効く場合が多い。なぜなら、現場が業務を熟知していることと、イレギュラー業務の対処方法も身につけており、それによって残業が大きく増えることもない。
従って、これらが追加請求されることはほとんどない。

今となってはこの撤退会社と同等レベルの運賃で対応できるほかの会社は見当たらないし、一度、取引を中止した過去の物流会社は、社長がへそを曲げてしまって二度と取り引きしないと言い切っている。
これらの事を撤退会社にぶつけたところ、またその弱みにつけ込まれて、「現行の20%アップであれば継続させていただける」との返事。結局、5%のコストアップである。この業務部長は既に配転が下され、関連会社への出向が決まった。

一人の営業マンによって人生が台無しになったという「荷主の言い分」。この業務部長はコストの妥当性を検証したのであろうか、また、契約を交わす前に責任を取れる上司か社長にでも相談したのであろうか。契約書にトライアル期間を設定する事はしなかったのか。いきなり5台ではなく、まずは1台から少しずつ台数を増やすことは出来なかったのだろうか。
この業務部長は、今までの上司からの不評巻き返しのための自分の成果づくりに焦りすぎたとも言える。

しかし、物流会社も一時的に安価な運賃で業務を受注し、簡単には取引を切れない業務の戦力になった頃に値上げを要求していると言われても返す言葉がないかもしれない。