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第271回「経営者が頑張っている」(1)

不況、不況と暗い話が世の中を覆ってしまっている。
しかし、不況時代に突入しながらも、しっかりと業績を維持している物流会社も多い。
これらの会社の共通点は、いずれも血の出るような経営者の気力と努力があることである。
ある物流会社の二代目T氏は、経営を先代からバトンタッチされた後、
営業所まわりに奔走した。
グループ内に6つの営業所があり、
T氏はその営業所6ヶ所の巡回を曜日ごとに振り分け、
1日2〜3営業所を回った。
その距離、何と1日1,000km、東京・大阪間を往復する距離である。
移動方法は車。
時速何kmで走ったのかは定かではないが、
学生時代にラグビーで鍛えたT氏も、
さすがに1日1,000kmの移動は堪えたようである。
しばしば睡魔が襲い、左太ももの内側を何度もつねりながら走ったという。
その太ももの内側のあざは今も消えることはない。
また、S物流会社の社長は若い時に鹿児島から上京し、
一代で年商30億にもなる会社を築き上げた。
途中、倒産の危機や金融詐欺にも引っかかってしまい、
経営の存在が危ぶまれたが、長男が会社を継ぐことになってからは
次第に経営が安定してきた。
強靭な気力と体力で今まで一度も病気にかかったことがないという60才のS氏、
顔つやも良く、元気そのものである。
しかし、今までの経営をいろいろと聞いていると、
驚くべきことに1日の睡眠時間が僅か2時間だと言う。
理由を聞くと、「常に会社のことをあれこれ考え、
枕元にはネタ帳ならぬ『経営メモ帳』が置いてあり、
何か気付いたことがあるとすぐに目を覚ます」という。
そしてそのメモ帳に必要なことを書き走り、また布団に入る。
このような生活を続けている中で、
1日の睡眠時間が2時間というのが当たり前になったという。
健康の秘訣は何かと尋ねると「毎日、サウナで汗を流すこと」だという。
有能な経営者ほど、自らの苦労話はそう簡単には話さない。
しかし、一度その話を聞けば壮絶な気力と努力の賜物であることが分かる。
また、さらに共通しているのは、
本人たちがそのことを苦労と思っていないことである