Top > メールマガジン「物流ナビゲーター」 > 第286回「輸送コストの見直し方(4)」

第286回「輸送コストの見直し方(4)」

4.社内輸送コストの削減

(1)車両別原価計算表作成の狙い
自社輸送企業様にとって車両を投入した結果「採算が取れているか否か」ということは最も重要なことです。それを知るためには、「一日あたりの売上に対してコストがどれほどかかっているのか」「一台の車を走らせるのにどれほどのコストがかかるのか」ということを知り、管理会計を導入することが不可欠です。
ところが、原価計算に基づいた管理会計を導入し計画を立て、運営をされている自社輸送企業様は意外と少ないのが現状です。
自社輸送企業様の売上もしくは物流費は、その性質上、日々の数値管理が頼りです。もし計画に対して大幅に売上がダウンしていたとしても、それを取り戻すだけの売上をすぐに積み上げることは大変難しいのが実状です。
ということは、当月のデータが翌月になって出てきても手遅れであり、利益がどのように推移しているかを日々管理(すばやく把握)していくことが必要といえます。
車両別原価管理表は、とかく「目と耳による経験と勘に頼った管理」になりがちな自社輸送企業様が原価計算に基づいた管理会計を導入し売上計画・経費計画等を立て、その執行管理をきっちり行うことで、「係数に基づく管理」を可能とし、適正な利益を出す為の指標を目的としています。

(2)期待される効果
車両別原価計算表は車両毎の「稼働一日あたりの原価」「実走kmあたりの原価」が算出できますので、その結果を日別損益や車両別損益の作成に用いていただくことで、早い段階で様々な手を打てるようになります。

(3)運送原価計算の活用のステップ
係数に基づく損益管理は以下のようなステップで段階的に導入していくと、より効果的です。
STEP1:運行五費の算出
STEP2:費用管理を行う。費用毎に、係数による各車両との比較を行います
1)人件費
2)燃料(燃費)、油脂費
3)修理費
4)車輌費
5)高速費
STEP3:効率管理を行う。
車輌別原価計算表に運行日報を加えることで車輌の月間稼働率や積載率、走行距離などの実績チェックを行い、課題、問題点を抽出していきます。

(4)最後に
車両別の原価を計算する=運送原価を計算することです。
車両別原価計算表は損益管理を目的とします。原価計算の最終的な目的は利益を出すことです。「目と耳による経験と勘に頼った管理」から「係数を生かした合理的な計画に基づく管理」へステップアップできるかどうかが、自社輸送企業様の生き残りをかけた大きな分岐点なのです。

このように輸送コストの削減は単なる“運送会社との値引き交渉”ではなく、物流特性や顧客特性を考慮した社内での効率的なシクミや数値化ルールを作ることが重要であると同時に継続性のあるコストダウンにつながると言えます。

青木 正一 著

大阪府工業協会 編集発行 『商工振興』2010.12号に掲載