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第287回「3PLで物流を再生する(1)」

〜荷主企業と物流企業の温度差を埋める3PLのあるべき姿と課題〜

1.荷主企業と物流企業における温度差と3PL
荷主企業と物流企業においては様々な温度差がある。
業務を発注する側と業務を受託する側という、
売り、買いの関係が当然ながら発生するがそれ以外に物流が“暗黒大陸”と言われ、
また“遅れている業界”と言われ続けている背景がそこにはある。
(1)正確な時間、確実な業務、安全なサービス、といった基本的な事柄を
当たり前にこなしていくことが重要視され、
顧客側のそれらを更に安価で実現して欲しいというニーズが付加価値を見出すことを
困難にしていること
(2)荷主企業は物流企業の業態、種類、コスト構造、規制などの業界情報の収集が
十分ではなく、物流企業での情報収集、教育レベルも決して高いとは言えないため、
双方との話し合い、協議内容が互いに伝わっていないこと、などが要因と言える。
その中で3PLの誕生とその目指すべきものは
過去の負の遺産を払拭するためだけではなく、
先進した物流を構築し、コストダウン改善提案とその遂行、
最適なインフラづくりなどに日々、注力しているのである。

2.NLFにおける3PLの存在定義とその機能
弊社では未だ曖昧になっている3PLの存在定義とその機能を次のように定めている。
先ず「存在定義」については次の2つがある。
(1)荷主にあわせ、最適な物流体制をプロデュースし
それを運営管理できる機関であること
(2)荷主の物流部門として顧客に対してサービスを提供し利益を生み出す組織、である。
そして3PLの「機能」としては大きく
a.荷主企業に求められるもの」とb.「3PLに求められるもの」、
c.「両社が共通して構築しなければならないもの」がある。
3PLを活用し、一括委託を行い、
コストダウンや改善提案とその遂行というメリットを得るには
aの荷主企業が実施し、認識しなければならないこととして次の3点がある。
(1)機密保持契約を前提とした物量データ、人員、一部コストなどの情報開示
(2)3PLを“業者”としてではなく、共同改善体としてのパートナーであるという認識
(3)物流をアウトソーシングするにあたって3PLに丸投げを行うのではなく、「管理」は自社、「運営」は外部(3PL)であるという認識
以上3点が荷主企業による3PL活用の大前提となる。
そしてb.「3PLに求められるもの」として、先ず、
業務受託後のオペレーションノウハウが重要になってくる。
具体的には(1)在庫管理スキル(2)コスト分析・現場診断力
(3)3PL人材の確保・育成(4)マテハンノウハウ
(5)同業者ネットワーク(アライアンス企業)(6)対象荷主のエリアカバー力
(7)レイバーコントロール(P/A)(8)物流管理指標の作成・運用ノウハウ、
といった内容が挙げられる。
更に営業面では提案営業からコンサルティングへの展開、
コンサルティングから現場改善実務というかたちで発展していくだけの
フローと人員、人材の整備、体制が不可欠となる。
従って3PLでは提案営業チームと改善・運営チームが分かれ、
互いに連携を取り、情報を共有化しながら
現場への落とし込みへと引き継いでいくケースが多く見られる。
その他では自社の倉庫や配送インフラを最優先するのではなく、
客観的に見た最適な物流インフラを組み立てるという点では
自社で所有するインフラが多過ぎても、
またノンアセットのように全く所有していない場合でも
最適な物流インフラを組み立てることは困難であり、
自社インフラを50%、外部インフラを50%を目安とする
“フリーアセット”が得策である。
しかしながら、どうしても現場側では自社のアセット(物流資産)を使用することで
受注業務の利益率を高めたいという力が強く働いてしまっている。
今後は各社における3PLの定義(例えば「物流費年間3億円以上の会社でその内、
60%以上の業務(金額ベース)を受託し、
保管業務が含まれている業務を3PL売上とする」など)を明確にし、
それに基づいた現場対応する事業所と関連部署、
そして本社営業との売上配分、評価制度(人事考課)にまで連動させていくことが
不可欠となる。

青木 正一 著

日本工業出版 発行 『自動認識』2009.06号に掲載