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第289回「踏ん張ろう路線会社」

長引く不況と東日本大震災の影響を受け、物流業界においても大きなうねりが出ている。
3PL企業の台頭、大手物流会社によるM&Aなどにより、資本力ならともかく現場力にも影響が出てしまっている。特に中堅路線会社での二極化が著しい。

今までは運賃の下落が続くなか護送船団方式で業界に生き残ってきたのであったが、力が尽きたのか輸送品質に大きな実力差が出てきていると言える。
ヤマト運輸、佐川急便を除くと総じて品質が落ちてきていると言えるであろう。具体的には商品破損、リードタイムの長期化(延着)、ドライバーレベルの低下による着荷主からのクレームなどが挙げられる。

路線会社が数社入り込み、競争原理が働いているエリアでは著しい低下は見られないが、東北、関東の一部、北信越、九州の一部などでは、このような事例を良く耳にする。元々輸配送インフラを拡充させ、トラックを走らせることを生業としていた路線会社は、インフラ整備のための投資を継続して行っていかなければならないが、中堅物流会社の経営利益はせいぜい1%であり、これでは十分な投資を実行できない。
このような会社はそれぞれの得意とするエリアを分担し合い、中継(傭車)によって荷主の要望に応えてきた。いわゆる顧客の欲しい物を欲しい時に欲しい数量だけというシンプルながら達成に大きなハードルを持つ“物流基準”のようなものが出来上がり、これを荷主は“当たり前”のことと位置づけた。
メーカーや小売業の一部は更なる高度化を進めているが、今や路線インフラを使った“当たり前”のことさえが実現しづらくなってしまっている。
それは地方にある物流会社が今まで各社の路線貨物全般を中継先として担っていたが、採算悪化のために倒産したり、取扱いを止めてしまったからである。

理由は他にもある。ドライバー品質の低下である。車両1台当りの経費の約45%を占めている人件費を抑えるがために採用給与が安価となってしまったり、高齢者の採用となる路線会社が多い。安かろう悪かろうの悪循環がここから始まる。他の物流会社で勤まらなかったドライバーが、納品先の着荷主に「何をどこに置いた」の声掛けをせずに帰ってきたり、回収するはずのパレットを忘れてくる。
また構内の荷役においても高齢であるリフトマンがパレット上にある製品にツメを刺して破損を発生させるなど多種多様のミス、クレームが発生している始末である。
また路線会社の資本力にも課題があり、荷主の要請があっても一般車両より高価な定温車やパワーゲート車を購入できないでいる。これを打破できるのは値上げであるが、そんな事を言おうものなら「はい、おさらば」と取引が切れてしまう。

そんな中でも“全社的”に値上げに踏み切ったS社があるが、特段荷物が減ったことや会社が傾いているなどの情報は一切ない。供給過剰のサービスを行っている路線会社に対して長年言い続けているが、
付加価値、差別化要因の商品化が急務であり、大幅なコストダウンと並行して原価計算による採算割れの仕事は断る勇気が必要である。
また路線業務に主力を注ぐのであれば、他社との統合、合併も選択肢の1つである。

2012年、上期中に景気が上向かなければ、下期、路線業界の再編は避けられないのではないかと筆者は見ている。