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第290回「踏ん張ろう倉庫会社」

不景気と叫ばれるなか、中小運送会社と比較すれば倒産する会社が少ないと言われる倉庫会社であるが、実態はいかがなものだろうか。倒産ほど追い込まれていないものの中小会社では苦戦を強いられているようである。それも倉庫物件を担保に入れた借入れで支えられている部分が大きい。借入れは、売上高と同額か、多額な場合では倍近い額で行っている。
月々の経常収支は赤字ながら、借入れによるキャッシュフローで回しているという中小会社が多い。倉庫の立地は良くても倉庫機能において他の倉庫と差別化を図れなければ、供給過剰となり“空き”を作ってしまう。

反対に少々辺鄙な立地であっても危険物用倉庫や内陸の保税倉庫、冷凍倉庫など、付加価値が高ければ必然と差別化が図られ、需要を生み出し、「待ち」ができるほどの満庫状態になっている。そういう意味では倉庫業における勝負は開発段階で決まるのである。

また、倉庫会社の運営の3大ポイントとしては、(1)営業力、(2)現場運営力、(3)輸配送のインフラ力
が挙げられる。
(1)の営業力は、必ずしも営業マンを配置するということではない。
先述のように高い付加価値機能を持っていれば引き合いがあるし、同業者から借庫の依頼も入ってくる。ここでの「営業力」は運営やシステムの提案力を含めた“集客”する力である。
(2)の現場運営力は、倉庫会社に関係なく他の物流会社にも共通する力であるが、筆者が常に提唱している「ショールーム化」(整理整頓、あいさつ、定物定位置)以外に、リフトマンのスキル(商品破損を起こさない)や、業務及び作業を利益化に導くレイバーコントロールノウハウの有無(a.パート・アルバイトの戦力化、b.作業生産性からみた時間帯別適正人員の配置、c.多能工化、d.終わりじまいなどの人員管理)が重要になってくる。
更に、形骸化していない現場管理指標の活用、棚番地の明確化、出荷頻度を考慮した”歩かせない”ロケーションづくりが功を奏することになる。
(3)の輸配送のインフラ力は、多くの倉庫会社は自社でトラックを所有していないため大きな弱点となっている場合が多い。
配車管理機能を持っていないため路線会社頼みになっており、拠点の近場に対するルート配送や特殊車両の手配には手をこまねいている状況である。
このような状況では、運送コストを下げる積み合わせや共同配送、帰り便の活用という方法が使えないため、中小規模の倉庫会社に委託した場合、運賃はほとんど安くならない。また、車両と倉庫を持つことでシクミが作れる調達物流の内製化(引き取り)による仕入コストの圧縮という術も使えなくなる。これらの課題をクリアさせることができなければ中小倉庫会社はスポット且つ小規模(50坪未満)の保管業務しか対応できなくなる。

倉庫経営については大きく2つの項目についてバランス戦略(リスクヘッジ)を打ち出す必要がある。
1つは坪(場所)貸しと自社運営のバランス、もう1つは自社倉庫面積と外部(借庫)倉庫面積のバランスである。
○○倉庫という名称は、戦後間もない復興需要に対応する形で“物を保管する建物”という不動産業の意味合いが強かった。その後、会社や事業を継いだ2代目、3代目の多くは、手間のかかる流通加工やセンター運営業務よりも賃貸業にウェイトをかけていた。その名残りは現在もあり、自社倉庫の全面積を自ら運営する会社は皆無といって良い。
しかし、失われた20年というバブル景気後の不況に見舞われ、反対に全てを賃貸し満足することも困難になった。従って、前者の坪(賃貸)貸しと自社運営のバランスは、勝者の傾向として50:50の比率が目安となっている。
後者に関しても、この50:50の比率が当てはまる。例えば自社において述べ5千坪の保管面積を持つとするならば、営業努力によって更に同規模の約5千坪の外部倉庫(借庫)を借りるだけの荷主と物量が必要になってくる。
これは自社倉庫分の荷主が出ていった場合、借庫分を自社に戻すことによって償却が多額になる時期においても利益を確保するリスク管理の一環である。
生き残りが厳しくなってきた中小の倉庫会社でもこのように打つ手は万策にある。

踏ん張りましょう中小倉庫会社様。