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第293回「荷主企業における中・長期物流計画のつくり方」

リーマンショック、東日本大震災が去り、
大きな影響を受けた荷主企業の中には
ようやく将来の絵を描けるようになった、作成する必要な時期が来た、
と思っている企業も出てきたのではないだろうか。
将来に向けた物流計画は真の競争力の向上に直結してくるものである。
ローコストオペレーション、輸配送インフラの強化によるリードタイムの短縮、
納品品質の向上など、物流を見直し、改革・改善を行なうことで、
自社の営業、仕入れ又は製造はもちろんのこと、
システムや組織までにも問題提起を行うことになる。
勤勉な企業は物流改革・改善にとどまらず、
上記のような他部門へもメスを入れることで企業力を強めていくことになる。
その要とも言える物流発の中・長期計画を策定するにあたり、
どのような事柄を整理していく必要があるかということを
今回はお伝えしていくことにする。
先ず、物流を整理していくなかで大きな整理箱があれば
シンプルかつ重要項目を逃がすことがないであろう。
それはQuality(品質)、Cost(コスト)、Service(サービス)の3つの箱を
常に基本にしていく。
それに次ぐ整理としては
(1)自社の現状(把握)、(2)課題・問題点の抽出、(3)改革・改善実施項目と優先順位、
(4)あるべき姿イメージ、(5)数値(コスト)計画、(6)実施スケジュール、
(7)推進体制
と言ったところが大きな目次となる事柄である。
最も難易度が高い事柄が(1)の自社の現状(把握)である。
感覚的(定性的)には分かっていてもそれを数値的(定量的)に把握していなければ
上司や他部門を説得することはできない。
もう少し、難しいこととして計画策定当事者の
管轄以外のところで発生している“物流”の情報収集である。
これは組織の壁を超えて調整し、他からの協力を得なければならない。
これら7項目だけでは物流計画としては50%にも満たない成熟度になってしまう。
決して忘れてはならない情報収集が他に2つある。
1つは自社の競合先がどのような物流を行っているのか、
特に先述のQ・C・Sの箱を埋める必要がある。
競合先がないというほど圧倒的な物流力を保有している企業は、
異業種も含めて“目指すべき物流先進企業”をベンチマークとして設定し、
その中身を知る必要がある。
もう1つは“顧客”である。
彼らが求めている物流は納期なのか、利便性なのか、欠品がないことなのか、
商品事故なく届けることなのかを、顧客特性別に整理できていなければならない。
そうでなければ供給側の自己満足に終わってしまい、
サービス力の低下を招くといったケースも少なくない。
更にもう1つ付け加えなければならない最重要項目がある。
それは顧客から見た「業者選択理由」としての自社の「強み」は何であるかを
重々、掌握しておくことが肝要であるということである。
物流計画としては何の遜色もない企業が結果的に自社の「強み」を弱めることになり、
売上はもちろんのこと、競争力を著しく低下させてしまったという企業が何と多いことか。
書籍やヒトから聞いた机上論で物流改革・改善を進めるには大きなリスクを伴う。
競合先の物流、顧客の真のニーズ、そして自社の「強み」を活かした
百社百様の物流があることを念頭にいれていただければ有難い。