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第294回「物流会社M社のパート戦力化PJ(1)」

物流センターで働くパート・アルバイトの戦力化に取り組んだ。パートの募集から採用までのプロセスを強化し、社員とパートの役割分担を明確化した。加えてパート向けの評価制度や表彰制度など、パート現場を管理するノウハウをセンター長と副センター長の2人に教え込んだ。

パート比率は上がったが‥‥
物流会社M社は電機メーカーS社のパーツセンターの運営を請け負っている。
S社の補修用部品を保管し、全国7カ所に配置したサブセンターに送付する。年間の商品通過額約80億円、取扱品目数約3万8000アイテムの在庫型センター(DC)で、1日あたり約120人のスタッフが働いている。

我々日本ロジファクトリー(NLF)がM社を支援するのは今回が2度目となる。前回は、それまで正社員中心で回していた庫内作業をパートに置き換えるプロジェクトを実施した。その結果、庫内の非正社員比率を従来の30%から85%に引き上げることに成功した。
それから一年半。改めてM社のM社長から相談を受けた。「年々、アイテム数が増加し、運営が厳しくなっている。

パート社員の採用方法や運営管理、生産性と品質のバランスなどに問題があるようだ。そこで今度はパート・アルバイトを中心とした非正社員の戦力化に力を入れたい」という。センターを訪問し、現場責任者のYセンター長とT副センター長からもヒアリングを行った。

やはりパート・アルバイトそして派遣スタッフの人繰りに頭を痛めているという。具体的な問題点としては以下の3点に整理できた。
(1)パート・アルバイトの定着率が悪く、せっかく仕事を覚えてもすぐに辞めてしまう。
(2)生産性を高めるためにはパート・アルバイトにどこまで仕事を任せれば良いのか。
(3)パート・アルバイトのモチベーション管理(やりがいづくりなど)はどうすれば良いか。

Yセンター長、T副センター長の両名にセンターの案内をしてもらいながら、1時間ほど現場を見て回った。
センターは2階建てで、ラックにはぎっしりと部品が保管されている。出荷頻度のABC分析によるレイアウト、ロケーションの設定も成されている。「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」も、ほぼ及第点。ただし、現場スタッフの働きぶりは確かに機敏とはいえない。指示された仕事を急ぐことなく、ただこなしているという印象だ。これらの現場視察とヒアリングをもとに後日、M社長にパート・アルバイトの戦力化を目的とした以下の改善テーマを提示した。
a.採用媒体の見直し
b.履歴書の見方
c.面接方法の見直し
d.役割分担と権限委譲
e.コミュニケーションの取り方
f.評価制度、表彰制度の導入
M社長の同意を得て、これら6つのテーマをYセンター長、T副センター長の両名に指導することになった。

a.採用媒体の見直し
これまでM社は、新聞チラシと求人雑誌を中心にパートの募集広告を打っていた。これを改め、携帯電話に対応したインターネット広告を新たに試してみることにした。携帯電話向けの求人サイトにM社の求人広告を掲載したのである。
パート・アルバイト層のライフスタイルにはマッチした募集媒体である。しかも費用対効果が高い。携帯電話向けの求人サイトは現在数十社がアップされている。広告出稿料金の相場は一週間の掲載で平均2万5000円程度。紙媒体よりも安い。それでいて、出稿一回当たり平均7人の問い合わせがあった。紙媒体が平均2人なので、3倍以上の効果ということになる。

b.履歴書の見方
応募者が提出する履歴書類は、採用を判断する上で重要な資料の一つとなる。「採用に値する応募者」の履歴書には、一般に以下のような傾向がある。
・履歴書、職務経歴書以外に「選考をよろしくお願いします」  といった旨の送付状が一枚添えてある
・履歴書の記入欄はできるだけ埋めている
・「応募動機」に前向き、かつ建設的なコメントが入っている
・印のマークがある場合、押印がしっかりなされている。

一方、「採用に値しない応募者」の履歴書は次の通り。
・当方の会社名、住所、担当者名が間違っている
・折れ線の所がヨレヨレになっているぐらい、明らかに何度も使用済みの履歴書を使用している
・履歴書に空欄が多い
・写真が大きくはみ出していたり、傾いて貼られている

履歴書1つで、そこまで決めつけて良いのか、やはり会ってみないとわからないのではないかという意見もあると思う。しかし我々の経験から言わせてもらえば、履歴書ほど?一事が万事?という言葉があてはまるテーマはない。
そもそも自分の職場、自分の仕事を決める大切な書類を不真面目に書く人などいない。つまり提出された履歴書には、本人が真剣に取り組んだ結果が表れている。そこには本人の持っている常識や集中力、慎重性などが明らかに出るのである。

c.面接方法の見直し
携帯サイトからアクセスしてきた応募者でも、面接日時等のやり取りにメールを使うのは避けるべきだ。あえて電話を使用することで、本人の「電話応対度」をチェックすることができる。とくに最初の応対が大事だ。
応募者の携帯には、こちらの番号はまず登録されていない。相手が分からないため、その人の?地?が出る。そして電話のやりとりの最後には、常識のある応募者であれば「当日、何か持っていくものはありますか?」と必ず尋ねてくるものである。留守電になることもあるが、どれくらいのスピードでコールバックしてくるかということから本人の就職意欲を窺うこともできる。
面接も当然、重要なプロセスである。
応募者を判断する上で大事であることはもちろん、面接に立ち会う採用側も面接によって応募者から評価されていることを忘れてはならない。つまり面接とは会社側が「選ぶ」機会であると同時に、
応募者から「選ばれる」機会でもある。面接者の印象や対応で、その会社が働くのにふさわしい場所であるかを応募者は判断しているのである。

これまでM社では、主にYセンター長が面接にあたっていた。Yセンター長は大柄で声も大きく、また強面である。センター長としては相応しくても、面接官としては威圧感があり過ぎる。Yセンター長には悪いが、M社の印象は良く映らない。そう我々は判断した。そこで面接官をT副センター長に代わってもらうことにした。
人当たりがソフトで、知的なイメージもある。面接官にはうってつけだ。急に面接官を外されたYセンター長は、はじめ少し拗ねていたが、「これもあなたのためです」となだめて何とか納得してもらった。

<ロジビズ 2007年6月号に掲載>