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第296回「景気・不景気に惑わされない」

物流業界に限らず売上のアップ、ダウンが生じると景気・不景気を理由にするのは今も昔も同じであろうか。“高度成長期”“失われた20年”という長いスパンでの好景気・不景気があったことは周知の事実である。
だが昔ならば業界全体の浮き沈みがあったが、昨今においては業界全体ではなく個々の企業単位でその浮き沈みが異なっている。

毎年、5月のGW明けの経済新聞では決算を迎えた企業の業績発表が紙面を賑わせる。その内容を見ても必ずしも業界全体が好業績、悪業績であるとは言い難い。
自動車産業、電機産業をはじめとし、化学、繊維、精密機器、小売、外食、サービス、それぞれの業界でも勝ち組と負け組に分かれ、企業単位で大きく業績が異なっている。
さすがに“リーマンショック”“東日本大震災”の直後ではほとんどの企業が売上を大幅に落としたが、それでも2、3ヵ月後にはそれ以前の売上レベルに戻している企業があったのも事実である。また売上規模によっても景気の影響を受ける企業、受けない企業がある。

年商10億円未満の企業は経営環境の変化や不可抗力に弱いが、決して不景気が売上ダウンの直接理由ではない。むしろあるべき本業への注力と同業他社との差別化、オンリーワンの資産(有形無形の)を持ち、地道な努力を続けている企業は、売上のある“大きな”会社ではないが、利益率の高い“強い”会社として多く存在する。

一方年商1,000億円クラスの企業では周辺環境への対応やコンプライアンスはそれなりに出来上がっているが景気の影響を受けやすいと言える。それはリスクに対する意思決定が遅れることと、組織が大きな為、大きく舵を切ってもそれなりの時間を要するためである。

ここで筆者がお伝えしたいことは「売上ダウンを不景気のせいにしない。むしろそんな事を口にすること自体が時代遅れである。
自社の本業(コア)に注力し、他社にはない強み、差別化要因をしっかり育てていけば数字(売上)はあとからついてくる」ということである。こんなえらそうなことを伝えている筆者であるが、実はタクシーの運転手や散髪屋のオーナー、(オーナーらしき)コンビニの店員、居酒屋などで「どう忙しい?」と聞くのが口癖である。景気過敏症である。

ところが2、3年前くらいまでは「やはり」と思った通りの回答が返ってきたのであるが、最近、その回答がバラバラである。
暇と言われるエリアでも、店に入れない繁盛店があったり、行列ができているタクシー会社(ワンコイン)などが実在する。または昔は予約も取れないお店がすんなりと入ることが出来たりといった具合である。

協会などが発表しているトラック運送業の業績アンケート結果などでは、8〜9割が赤字経営と言われているが、筆者のクライアント先において赤字経営はゼロである。むしろ物流会社で経常利益25%、荷主企業で経常利益30%という絶好調企業が多く存在する。
先行きを見通すことが難しい時代であるが、それなりの説明がついた“不景気”を理由に売上ダウンを容認する時代ではなくなったことは確かなようである。

売上が下がった時は不景気のせいにするが、一転、売上が上がった時には好景気を理由に挙げず、自助努力を前面に出す企業や営業マンが多いことがそもそも矛盾しているのである。
それからマスコミが取り上げる経済ニュースや景気に関する情報、数字は様々な情報がある中でのほんの一部でしかないことを再認識しておくことが大切である。