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第301回「コンサルティング能力を高める」

荷主企業、物流企業共にコンサルティング能力の必要性を感じる場面が多い。
過去には荷主企業に対する提案営業のバージョンアップ、延長線上としてコンサルティングスキルの必要性を伝えてきた。
そのことは今でも変わりはないが、最近ではメーカー、卸、小売、外食、サービスといった荷主企業各社でコンサルティングスキルの必要性を強く感じるようになった。
具体的にはどのような事柄であるか、伝えていきたいと思う。

(1)自社の物流において何が問題であるかを見つけるための指標や目安となる数値、基準といったモノサシを持つ必要がある。
物流管理指標の導入や物流コストの算出を実施しても何と比較をすれば良いかがわからないという場合がある。ここで大切なことは同業他社やモデルとする企業の情報収集が出来ているか否かということにもつながってくる。
物流管理指標について言えば他社情報の収集は困難であり、絶対値比較としてPPMレベル(100万分の1レベル)であれば物流品質として高いと言える。
こと支払物流コストに関しては株式公開している同業他社又はモデル企業の有価証券報告書を見れば
知ることができる。
ただセンターフィーなどの詳細な費用の振り分けは各社によって異なるため、あくまで近似値として理解しておいた方が良いであろう。
その他では(2)集計されたデータの分析方法、(3)見学などによる他社事例の有無などは多くの荷主企業に当てはまる。もっと欲を言えば自社調査の方法や頻度、調査すべき項目、サンプル数などが
不十分なために正確な実態把握が出来ていない。

この状況をスタートラインに改善や方針の組み立てを行っている企業が何と多いことか。このような企業は時間対効果の出ないテーマに着手したり、思うような成果が出ない、顧客サービスを低下させるといった間違った物流改革を推し進めさせてしまう。ボタンの掛け違いによる悲劇と言ったところである。

更に荷主企業、物流企業に共通した必要なコンサルティング能力としては、(4)質問力、(5)問題解決に向けた引き出しの多様性、がある。
この2点については短期間に身につけることはやや難しい。場数が必要になってくるからである。(4)の質問力は当事者がある程度の“仮説”を持っていなければ的確かつ聞き出したい情報は収集できない。また(5)の問題解決に向けた引き出しの多様性については様々なタイプの相手と様々なトラブル、立上げ、成功体験などを経験として積んでいなければ養うことは出来ない。引き出しの数は医者に例えると症例の数である。
従って特に、(5)問題解決に向けた引き出しの多様性、については“継続は力なり”という時間が不可欠であり、加えて経験の「量(数)」が「質」を創るという分母の多さが重要になってくる。
過去に物流(部署)に30年従事した大手電器メーカーの物流部長がおられたが、最近、そのようなキャリアの方とお会いすることが少なくなった。

物流スペシャリストにおいても時間(継続性)がなければ誕生することはないのであろうと筆者は強く思っている。