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第304回「2つの理由」

2つの理由。
それは人が退職するには2つ以上の理由があるという事を示している。これは物流業界に限らず、業種を超えた多くの企業・会社でも共通する事柄である。
なぜ、こんな話を読者の方々にさせていただくのかという背景に著者の仕事内容がある。
1つは物流に専門特化した人材紹介事業を約10年前に立上げてから、多くの履歴書と求職者のカウンセリングを行ってきた。また、もう1つは会社の代表として、これもまた、多くの幹部候補、コンサルタント候補、ラインスタッフ、パートなど、自社の戦力強化に、多くの時間とコストを割いてきた。
これら2つの背景の中で、多い時には年間200〜300人の履歴書をチェックしていた。その中で分かった事は、会社を退職する人達には必ず2つ以上の理由があるという事である。

一般的に履歴書や面接時に出される“表”理由と、人としてドロ臭い部分であるが、本質的な理由として、コミュニケーションの問題、会社への不安・不満の蓄積、家庭環境の逼迫した状況などの“裏”理由が存在している。
実は上記にある“表”理由は選考に際して重要な情報ではない。寧ろ“裏”理由の方が、繰り返すが本質的であり、生々しいリアルなきっかけとして貴重な情報となる。
その人が何に対して耐性が無いのか、どのような考え方をする傾向の人物なのか、などの情報である。
これを応用していく必要があるのが、会社・企業としての「定着率の向上」である。

こと物流業界においては、いわゆる3K業界として定着率向上が永遠の課題という会社も多い。また、他の業界においても出入りの激しい会社では、同様に該当する事である。至って、この様な会社では退職理由について十分な情報を把握しておらず、想像の範囲で理由づけをしており、担当部署は一喜一憂で頭を抱えている場合が多い。

同業他社、地域・周辺相場との給与格差の有無、募集内容、面接での優しい業務内容を匂わせた入社ハードルを下げる方法、体験入社での業務内容、体験時間不足など、採用に対して会社側の焦りが出てくると悪循環が始まってしまう。
定着率が悪い会社は、どうしても入社ハードルを下げてしまう。実は“負”のサイクルを断ち切るには、グッと踏ん張って一度、入社ハードルを上げなければならないのである。
それと先述の、今まで退職していった人達の“裏”理由を掌握する事が肝要である。どうやって、その情報を収集するかと言えば、残っている人達や、ある程度の勤務期間があったのであれば、周囲の人達に話をしている事が多いので、その人達から話を聞くのが一番である。

このように良い人材を採用するのであれば、前職、前々職の退職理由2つ以上を抑える事。定着率を高めるのであれば、退職者の辞めた理由2つ以上を抑え、その対策を早急に打つ事が不可欠である。