第306回「人づくり」

物流業界に限らず、人づくりは会社にとって大きな課題である。
特に物流業界においては、未だ3K業種と見られているところが多く、良い人材が流入していない状況である。
昨今では「質」の問題だけではなく「量」、いわゆる人手不足に頭を痛める物流会社も少なくない。限られた環境の中でも、ヒトをパワーアップさせる方法はある。その方法は大きく3つに整理できる。
(1)採用(2)異動(3)教育・指導である。

(1)の「採用」については経営陣が採用する幹部候補者の中途採用よりも現場で採用の権限が高い、ドライバーやパート・アルバイトたちの採用力に、まだまだ改善余力が残されている。
①面接を行う前に履歴書を送ってもらい書類選考を行っているか、②①に基づく履歴書の見方、特に封筒に書かれている社名が間違っていないか、送付状など一筆が添えられているか、応募書類に空欄が目立たないか、などの“行間”を見る訓練が管理職には必要である。なぜならば採用に値する人物と値しない人物とでは履歴書と、それに基づく応募手順に大きな違いが表れているからである。
「応募します」という電話が入った時から採用面接が始まる事を良く認識しておかなければならない。
この「採用」では“試用期間”の前段階にあたるトライアル、体験入社の内容も良い人材の採用、定着率の向上につながってくる。この段階で会社の考え方が、「楽な仕事の一部を体験してもらい、出来るだけ入社してもらう」、「きつい仕事も体験してもらって無理なヒトには入社してもらわない」と、大きく2つに分かれる。
当然、後者のトライアル、体験入社を行う事が必要であるが、現場責任者が人手不足に焦りがあると、どうしても前者のトライアル内容を選んでしまい後々、苦労する傾向が強い。

(2)の異動については他業種では当り前になっているのであるが、こと物流業界では長年、固定となっている場合が多い。
物流における人材は放っておくと自然と「井の中の蛙」になってしまい、外界を深く知らないまま年齢を重ねてしまう。本来は料理人や板前のようにいくつかの職場、環境、シクミ、ルール、荷物特性を経験してノウハウを身につけていくという要素が大きい。これは何も中途採用を重視するという事ではなく、転勤を含めた自社内での人事異動が有効であるということで特に幹部候補生には不可決なキャリアパスプランとなる。

最後に(3)の「教育・指導」であるがこれにも大きなテーマが3つある。
①先入れ先出し、天地無用などの物流の基本修得
②荷扱い、シール貼り、梱包などの“基本動作”の直接指導
③マナー、5S、安全管理などの「物流」以前に職場としての基礎教育、である。
先ず、入門編としては上記のような「基本」をしっかり教育・指導できる体制、環境づくりが重要である。

物流クレーム対策や品質向上、生産性の向上、どれを取っても「基本」の有無が成否を分けるのである。