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第308回「物流クレームと向き合う」

物流クレーム。読者の方々には頭の痛い言葉かもしれない。
しかし現実的には日々の物流クレームとしっかり向き合わなければ品質は向上しない。こと物流においては、出来て当り前(正確な納品、正確な時間)という認識が一般的であるため、少しの間違い、ミスもクレームとなってしまう。しかし対応する物量が多ければ多いほど間違い、ミスも発生しやすくなるわけで、いくら発生したとしても、その件数だけで評価、判断されるのは如何なものかと思う。

通常、ローコストでの運営においては1/10,000(99.99%)が上限の目安であり、それ以上の精度を高めるには、バーコード管理や作業の自動化(マテハン投資)など投資、つまりコストオンとなる。とは言っても、これらは業務を受けている側の言い分という見方もある。
納品側の荷主の顧客にとっては、製・商品の破損や誤納によって彼らの顧客を失うか、生産ラインを止めざるを得ないなど大きな損失を被ることさえ当然あり得る。それが数値に、1/10,000(99.99%)以上の精度であった場合だとしてもである。

こうなるとクレームは受託している物流会社だけの問題ではなく、荷主との共同責任と言える。目標値までの責は物流会社にあったとして、それ以上の精度の場合は荷主における対応力やリスクマネジメント、コンプライアンスなど管理側(荷主)でも物流会社任せにするのではなく、自らも体制を作っておかなければならない。
ここでは数値上の線引きを例として挙げたが、クレームの内容そのものにおいても責の線引きが重要である。更に荷主のクレームに対する認識と理解が重要となってくる。
上記のような認識を持っている荷主は決して多くなく、仮に持っていても、その責任を取ろうとはしない場合が多い。これらから相互での共通認識と目標値に対してコンセンサスが不可欠であるし、物流会社側は「訴え」が出来る体制と習慣づけが必要になってくる。

そこで筆者はSLA(サービスレベルアグリーメント)を締結しておくことをお勧めする。長年、曖昧になっている責任の所在、一方的なクレーム改善要請が課題になっている物流会社には得策である。またSLAを更に有効なものとしていく方法として“定期的な改善提案”がある。
「このような事が改善できれば(してもらえれば)クレームが大幅に削減できます」と言った主旨の提案活動である。

先ずは(1)クレーム情報が正しくタイムリーに入ってくる流れとルールづくり、(2)その情報の共有化ツールの決定、(3)一覧表による可視化、(4)「不明」とならない原因究明の徹底、(5)次善策の抽出、(6)(5)の実践と継続といった広義における「実態把握」から着手し、クレームから逃げずに正面から向き合っていく姿勢が重要である。