第315回「一物多価」

一般的に製・商品の販売における値段決定は“一物一価”となっており、ペットボトルのお茶であれば1本120円とか、ガソリンであれば1ℓ当たり150円などと決まっている。
最近では量り売りの惣菜ショップなどが出てきてはいるが、多くは「一つの製・商品に対して一つの価格設定」となっている。
これを受けて、物流業に関しては無形とされる“サービス”を提供しているわけであるが、業界の強み、もしくは武器になるのが「一つのサービスに対して多様な価格設定」が出来る“一物多価”となっている。この強みというべきか、メリットを活かして読者の方々は上手にビジネスを展開されているでしょうか。

運賃であれば月額当たりのチャーター料金、1日当たり料金、個建て料金、重量当たり料金、立米当たり料金、共同配送であれば1件当たり料金、センター運営との合算設定であれば通過金額に対する○%という料率料金など、多様な設定が可能である。ここでの課題は、荷主の考え、ニーズと物流会社側の目論見にギャップがあるかないかである。

荷主は物量に合った変動費型料金を求めているのに対して、物流会社側は少しでも売上保証が欲しいとの考えで、固定費型料金を提供したいと思う。
しかし、競争が激化するなかでは、荷主のニーズに即した料金設定を上記のように多様な設定手段を駆使して変動費化させることが望ましい場合が多い。例外もある。緊急時や在庫増の際、溢れた製・商品を別の倉庫に入れないで済むよう一定のスペースを確保しておく、保管での定坪定額制などはそれに当たる。しかしながら、これも荷主のニーズの一つである。

値下げ要請の対応に苦慮している物流会社は、単価の値下げの前に、このような料金設定のシクミを変えて提案することをお勧めしたい。物量に応じた変動費料金になっただけでなく、運賃が自社の指標(元としている数値単位)と合致しているため、コスト算出が容易になったと喜ばれる担当者も多いのである。

このようにビジネスでの重要な値決めで物流業は多様な料金設定が出来るという大きなメリットを持っている。新規開拓においても既存深耕においても、これを攻略の武器として再提案、アプローチを進められてはいかがだろうか。
当たり前に見えている身の回りの事柄、出来事でも一つ一つをクローズアップして観れば、まだまだ有効なツールは見つかるものである。