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第316回「他流試合で若手幹部を鍛える」

物流業に関わらず、現場がある産業においては、その当事者たちに情報が遮断されてしまうこともあり、どうしても他の情報に触れる機会が少なくなってしまう。常に伝えている“井の中の蛙”現象が起こってしまう可能性が高くなる。こうなると当たり前ではないイレギュラー(業務)が当たり前のレギュラー(業務)として目が慣れてしまったり、「何が問題であるか、分からない」という問題意識欠乏症になってしまう。何もこれは当事者たちだけの責任ではない。むしろ、会社としての制度やルールを整備することが肝要であり、(1)自社営業所を視察する機会を作る、(2)周辺営業所(事業所)をラウンド(視察)する時間、日時を予め確保する、(3)人事異動を定期的に教育的に行う、(4)他社の現場を見せてもらう、などが有効な方法である。
しかし、まだ十分とは言えない。自社の常識は他社の非常識とも言われるように、一度、どっぷりと会社の中を見てみないと、価値観、考え方、優先順位の付け方など、一過性の視察だけでは新たに身に付かないものだ。

(1)から(4)の方法によって“井の中の蛙”は退治出来てくるが、若手幹部を鍛え、将来の経営幹部に育てようとまで考えるのであれば、一度は取引先(荷主、協力会社含む)に出向させ、他流試合を経験させる必要がある。
大手企業においても、社長交替人事などを見ると子会社の役員、海外現地法人の社長などを経て、親会社の社長に就任するという経歴を見かけるが、決して戦略的かつ教育的な人事異動、人員配置が出来ているわけではない。中小、中堅に関係なく、大手でも人材不足であることが良くわかる。
重要なポストに就かせる人物は、離れなければならないポストにおいても重要な役割を果たしていたため、そのポストを抜ける影響はあまりにも大きい。
しかし、面白いもので影響が大きく、その穴埋めは出来ないと思われていた人物のポストも時間が経つにつれて、それなりに回るようになってくる。組織の治癒力である。

このことから、(1)計画的に人員を採用できるよう(新卒、中途に関係なく)利益を確保する、(2)ベテラン幹部で停滞してしまう組織が多いため、若手をいち早く育て、やや未成熟でも思い切って上のポストを与え、組織の新陳代謝を良くする、(3)この人物こそはという人財は、状況によっては一度、会社の外に出して見る(但し、戻ってくることを前提とした取引先に限る)などに注力する必要がある。

いずれにせよ営業以外は意識的、意図的に他流試合を開催しなければ人材を磨き上げる
ことは、かなり難しいと筆者は認識している。