Top > メールマガジン「物流ナビゲーター」 > 第323回「物流改革と物流改善」

第323回「物流改革と物流改善」

言葉遊びのように聞こえるが重要な区分である。
物流改革は物流部門だけに止まらず、全社でのアクションを表す。具体的には営業、生産または仕入・調達、システム部門にまでPJメンバーを招集し、「全体最適」を目指すところに大きな価値がある。更に全社挙げての活動であるだけでなく、経営者の後押しならぬ、トップダウンが不可欠である。

一方、物流改善では、ルールの見直しや取引会社の交渉、現場改善など物流部門を中心とした「部分最適」の活動となる。当事者たちに部分最適の意識はないかもしれないが、物流という全社の最終窓口(経営活動の最終アンカー)という特性から変化させ、それに伴って得られる効果はどうしても限られてしまう。

通常、多くの企業は部分最適の「改善」はお手の物であるが、全社的な「改革」は不得意である。その理由に
①部門を超えてコミュニケーションを取る術、ルートがない。
②他部門との意見、時間調整が難しい。
③総論賛成、各論反対となり、結果的にPJの成果を生み出さない。
といったことが主であるが、結局、手間が掛かる、時間を要する事を敬遠してしまうのである。このような場合は、部門を横串にする部門か人が必要になってくる。

しかし、それは強力なリーダーシップを持ってPJを引っ張っていかなければならない。「こちらの部門を立てれば、あちらの部門が悪者になる」などと悠長な事は言ってられない。“和”を重要視する企業風土を持つ多くの企業は、このような活動を苦手とする。

しかし、国際的な競争力を求められている現在、物流に限らず必要であるのは明らかに「改善」ではなく「改革」である。
また、求められる成果も昨対比○%の世界(ソフトランディング)ではなく、業態が変わるほどのドラスティックな変化(ハードランディング)を作らなければならない企業が多いと言える。

失われた20年を考えれば、それ以上の歴史を新たに作るほどの“改革”が必要である。ローリスクローリターンの「改善」の積み上げからリスクヘッジ方法を組み込み、ハイリスクハイリターンの「改革」に踏み込まなければ次はない。
手間と時間を要するが、トップが明確な目的か方向性を打ち出せば得られるものは壮大であるだろう。

あとはこの「改革」プロジェクトを運営し、マネジメントできる人材の選定。これが鍵である。