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第325回「ビジョンの欠如」

筆者は仕事柄、多くの経営者と接する事が多い。経営者と言っても会長、社長、専務、常務と役付きは様々であるが、二代目、三代目を含めて最高経営責任者であることは間違いない。
特に物流企業となれば、大半の企業において、この“経営者”達と接することになるのであるが、筆者がこの業界に入り込んだ約20年前と比較すると、彼らに一つの変化が見られる。それは「将来のビジョンが明確でない」ということである。

昔は先代やオーナー経営者がこうしたい、こんな会社にしたい、上場したい、あの会社を超えたいなどと強烈なビジョンというか子供のような“願望”や“夢”を持っていた。しかし、今の経営者にはそれがないのである。理由の一つに「失われた20年」と言われるように経済成長が右肩上がりの成長から右肩下がりのデフレ化となり、成長どころか如何に会社を存続させるかという防御体制を迫られたからであり、また高度経済成長期を生きてきた先代経営者からバトンを受けた二代目、三代目は先代のようなやり方は到底できないと経営の方向性を模索することになったからである。
経営環境が一変したのであるから同じやり方が通用しないのは当たり前である。しかし、これらは外部環境で、これを言い訳にして心血を注いで将来の方向性を見出さずにいた経営者が多いことも事実にある。
このビジョン、方向性の欠如においては物流業が受託産業であり、自ら市場を創造しづらい業界構造であるということも一因している。しかし創業性を持って、宅配や水の配送のマーケット(市場)を拡大、創出した物流会社があるのも事実である。

上記にある事柄は多くの経営者や業界関係者が思い抱いているもので、言い訳として良く使われるモノである。「ビジョンの欠如」の原因は経営者そのものの資質と努力にある。いかなる時代、いかなる業界にでも、このような逆風下においても企業を発展させている会社は山ほどある。

経営者自身が(1)経営者としての自己研鑽、(2)情報の「量」と「質」の収集、(3)現場ラウンド(答えは現場にある)、(4)異業種との交流、そして(5)自己犠牲の覚悟、が出来ていないのであると筆者は認識している。
メンタル的に負け犬根性を持たないようにしなければならないが、先ず、思考をポジティブにして異業種の成長企業と接することで、何が必要か、これから何をしなければならないかというヒントが生まれてくることは間違いない。

経営者たるもの物流業という一つの業界での井の中の蛙になってはならないと筆者は強くお伝えしたい。