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第354回「老後と物流」

筆者の私事であるが、この10月から実母と一緒に暮らすこととなった。姉妹で生活していた鹿児島から移ってきたのである。今では5人家族となっている。

実母は81歳ながら食欲旺盛で睡眠もしっかり確保できている。当然ながら年を取るとライフスタイルも変わっていくものである。購買意欲となれば贅沢品を購入することは先ずないが、食品、生活雑貨への消費はまだまだ旺盛である。食品に関して言えば、水、お茶、コーヒーなどの水分、パン、おにぎりなどの軽食はほぼ毎日消費している。生活雑貨、日用雑貨では大人用紙おむつこそ使わずに済んでいるが、これからの備えとして鹿児島から持ち込んできた。トイレットペーパー、ティッシュ(ケース、ポケット)、タオルは勿論のこと、意外と目に付く消費が、目薬、シャンプーなどがある。結構、必要なのであろう。

一方で老人といえども家に籠っているとは限らない。墓参りならぬ日々の寺社参拝に出掛けたりする。
ある日、「近くに買い物が出来る所はないか」と聞かれた。既に食品スーパーの場所を散歩がてら2回ほど伝えているが、本人にとってそこは“近く”ではなかった。結局は、これも2回ほど伝えておいたコンビニで今度は自身で歩いて買い物をしてきた。恐るべしコンビニパワーである。実母もえらく喜び「必要なものは何でもある」とお気に入りなのである。コンビニにとってお得意さんが1人増えた。また、弁当の他にすぐに必要のないパンとボールペンなどもついでに購入してきていた。難儀であるのは“重たいもの”“開封に力が入るもの”が自分のモノにならないようである。

牛乳や500ml、1Lの飲料水などは重たく、またペットボトルのフタの開封、瓶詰め食料品のフタ開封には力を貸せと要請が入る。このように高齢化社会では生活圏が大きく狭まるため“近く”の距離感が大きく異なることと、重量物(品)の持ち運びに苦労する。ただ一概に重量物(品)、かさばる品物を宅配サービスにすれば良いかと言えばそれはNOである。
携帯から、また固定電話から10ケタの数字を持ち込むことはハードルが高い。これには“安心できる御用聞き”でないと彼らは物事を頼まないであろう。短縮ダイヤルと言っても文字が見づらい。更に若い女性にも多く見られるが“握力が必要な開封品”はタブーである。

物流に関しては上のような物的流通が一例として挙がるが、もう1つには治療に通う、友達のところに行く、近場の老人が集まる自治会や神社仏閣に向かうと言った人的流通、「人流」にも手頃なインフラが不可欠であることが再発見されたのであった。