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第401回「人手以前に工夫が足りていない」〜後編〜

1.ドライバー不足の状況
■地域によって事情が異なるドライバー不足
採用難は東京を中心とした一都三県、特に西東京や神奈川周辺エリア、埼玉周辺の東関
東ではやや和らぐ。
地方では佐賀県の鳥栖や愛知県の小牧など、産業用地の開発が集中的に行われた地域で
ドライバー不足が深刻化している。これらの場所には数多くの工場も進出している。そ
れが新たな物流ニーズを生んでいるわけだが、生産と比べて物流の拠点進出は計画性を
欠いていると言わざるを得ない。

拠点進出に対する計画性
<生産拠点の場合>
●用地取得を検討する段階で近隣対策や周辺人口のシミュレーションを行う
●研修生として外国人労働者を受け入れることまで視野に入れて、必要な人手を確保
 できるか検証する。
<物流拠点の場合>
●許認可も含めて参入障壁が低いため、十分な検証を経ないまま用地を確保し拠点を建
 設してしまうケースが跡を絶たない。そのために人手の取り合いになってしまう。
●工員や庫内作業のパート社員であれば、拠点と近隣の駅を結ぶ送迎バスを走らせて
 人を集めることもできるが、終業時間が安定しないドライバー向けにはそれも難しい。
 出稼ぎ対応型の寝食を完備したドライバー寮の設置まで検討しなければならなくなっ
 ている。

2.ドライバー不足の原因
●仕事の負荷自体が上がっている。積み込み先や納品先における自主荷役、棚陳列、再
 検品、回収、帰社後の伝票処理など、やることが増えている。
●休日の確保もままならない実状。
●安過ぎる給与。都道府県ごとに定められている最低時給を見据えた水準まで下がって
 いる。孫請け、ひ孫請け仕事がメーンの零細会社ともなると規定スレスレの低給与で
 ある。
●破損や納品トラブルなどで会社が支払った弁済金の一部をペナルティとして給与から
 天引きされる例も多々ある

こうした要因のいくつかは社会的な問題であって、運送会社にすべての責任を押しつけ
るのは酷だろう。しかし、当の運送会社自身、十分な対策を取っていないこともまた事
実である。ハローワークに求人表を出しただけで、応募がないと嘆いているだけでは、
事態が好転するはずもない。

3.コンビニ店員の外国人比率をヒントに
■物流拠点の立地調査の一環
【該当拠点周辺のコンビニの時給】
 コンビニがそのエリアの時給相場を決めるプライスリーダーとなっていることが多い
 からである。そこからドライバーや庫内作業員などの時給相場を推し量れる。

【コンビニ労働者の国籍】
  そのエリアにおける作業労働の需給バランスをつかむヒントになる。今や首都圏のコ
 ンビニで外国人店員のいない店を探すのは難しくなっている。深夜ともなれば外国人
 ばかりという店もある

※夜間でも日本人店員だけでコンビニを回しているエリアは、潜在的に労働力の供給力
 があると判断できる。そのエリアで人手が集められないとすれば、それはその会社の
 採用力が不足しているためである。

4.ドライバー採用力を強化する
●口コミを利用
既存の自社ドライバーに誰かいないかと尋ねるだけでなく、庫内作業に従事する主婦パ
ートにも声を掛けてみる。すると求職中の夫やその友達を連れてきてくれることがある。

●ハローワークのほか、有料の採用広告の利用
コストは掛かっても採用ハードルを下げることなく、人材を確保できれば結局は安くつ
く。広告料金の支払いを渋って、“採用しては退職する”を繰り返すよりずっといい。

●あえて一回り大きなサイズの募集広告を打つ
他社と差別化することを勧める。小さな枠を何回も掲載するより、掲載回数を減らして
大きな枠で募集したほうが費用対効果は高い。

5.運送業における人手不足対策の心得
(1)募集方法の工夫
無償で容易な求人活動だけではなく、紹介、口コミ、出入り業者へのアナウンス、有料
広告媒体の活用など、可能な限りの手段を使って募集を告知する。

(2)採用コストの考え方
新規採用ドライバーの「質」を維持するには、応募の「量」を確保することである。そ
のためには目先の募集広告費をケチってはいけない。トータルコストで判断し、必要な
経費は惜しまず予算化する。せっかくドライバーを採用しても人材の質が低く、すぐに
辞めてしまったり、破損や事故を多発させたりすれば、そのダメージは広告費用よりも
はるかに大きくなる。

(3)採用を焦らない
面接や処遇面の確認もほどほどに、早々と内定を出してしまう会社が多く見受けられる。
しかし、焦りは禁物。“安物買いの銭失い”になってしまう。採用基準を事前に明確に
し、決めた通りに運用する。履歴書・職歴書に基づく書類選考、役職者による面接、仕
事内容の十分 な説明は不可欠である。特に仕事のハードな面も正直に知らせておくこと
が重要である。

(4)採用後のフォロー
ドライバー出身の専任指導員を同乗させて、新規採用者を教育している会社もあり、効
果を発揮している。専任者を置くコストが捻出できない場合は、既存ドライバーの中か
ら班長を選ぶといい。他のドライバーが分からないことや困ったことが起きた時には、
班長に連絡して、ヘルプデスクの役割を果たしてもらう。仕事に関する相談など、身近
な“世話役”を作っておくことで、“退職危機ライン”となる入社後の三カ月間を乗り
越えるのである。